Liイオン二次電池の新規正極材料の探索
Liイオン二次電池は,繰り返しエネルギー貯蔵できる蓄電池として, 携帯電話やモバイルPC等の携帯機器用電源として広く用いられています. 最近では,電気自動車やプラグインハイブリッド自動車,さらには定置型蓄電池などの大型電池に向けた さらなる高性能化(安全性向上,高容量化,高エネルギー密度化,高耐久性,低コスト化等)の研究が盛んになされています. 実際の電池では,正極材料でのリチウムの出し入れが電池の容量や電圧,耐久性を決定するため, 正極材料内部あるいは正極材料と電解質との界面での化学反応を原子レベルで理解することが求められています. 本テーマでは,最先端の計測技術を持つ実験グループと緊密な連携を取りながら, シミュレーション技術を駆使して充放電時の電池内部の化学反応を解明し,新規正極材料の開発を目指します.
- 平成23-24年度,日産自動車と共同研究
- MRS-J若手奨励賞
- ISEOD2014 Best Poster Award
- 2012 MRS Spring @ San Francisco, Blue Ribbon (Best Poster Nominee)
- 2013 MRS Spring @ San Francisco, Blue Ribbon (Best Poster Nominee)
キーワード:量子力学,第一原理計算,固体物理,Liイオン二次電池
高エネルギーHe照射による金属中欠陥生成および表面ナノ構造形成機構の解明
核融合炉で使われるダイバータとよばれる材料表面に,非常に硬く熱に強いタングステン金属を用いることが考えられていますが,核融合反応で生じる高エネルギーの粒子にさらされることで,多くの欠陥が生じることや,表面にナノ構造が形成されることが分かってきました.しかし,どのようにそれらの欠陥や表面ナノ構造が生じるのかといった詳しい機構が分かっていないため,それを抑制することができません.また,表面ナノ構造を制御し,意図して作れるようになれば,触媒や太陽光発電システムなどの産業応用が期待されます.
そこで我々の研究室では,電子状態計算や分子動力学法を用いて,タングステン内部に侵入したヘリウム原子がどのように振舞い,欠陥を生成していくのかを研究しています.これまでに,ヘリウム原子が集ることで単体でいる場合よりも素早く動くこと,凝集することで自己増殖的に結晶構造を壊してタングステン内にバブル発生させることなどを明かにしました.(左図はタングステン中にヘリウム原子(赤玉)が凝集している様子.)
キーワード:第一原理計算,分子動力学,ナノ構造,結晶欠陥,固体物理
シミュレーション可視化ツールの開発
本研究室では,電子密度や原子配置を可視化するアプリケーションを独自に開発しています. 上記のような画像や動画として計算結果を見ることができ,シミュレーション結果の理解を視覚的に助けてくれます. 完全に一からJava言語で書かれおり,ほとんど全てのOSで実行することができます.
世の中にはこの手のソフトウェアはたくさんあり,非常に高機能でフリーなソフトウェアもありますが,我々の研究室でも独自に開発しています.そうすることで,ソフトウェアの中身を完全に分かっているので,コードを少し変更するだけで,自分が表示したいものを好きなように描画できるというメリットがあります.(Akira,MAV)
キーワード:コンピュータ・グラフィクス,OpenGL,Java言語